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五輪エンブレム問題をみて、ライターが考えた

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五輪オリンピックのエンブレムデザインに関する話題が、一向に収まる気配がありません。
落ち着くどころか、デザイナーの佐野研二郎氏や、委員会が新たな発言をすると、それがまたネタになるという悪循環が起きています。

燃える
私はこの件について、興味を持って推移をみていました。

ライターとデザイナーでは、畑違いと思われるかもしれませんが、「伝える」という点で本質は同じです。

トートバッグの画像盗用は論外ですが、リボンやスイカのような、一種、記号化されているようなデザインまでパクリと言われてしまったら、デザイナーさんはこれから仕事がしづらくなるんじゃないだろうか?

そのあたりが、非常に気になりました。

私は、取材記事を書いています。
記者会見の記事をアップした際に、「先に発表されている記事に似ている。パクリだ」と言われたら、どう対処したらいいんだろう?

そんなことを、ついつい考えてしまうのです。

記者会見やロボットコンテストのソースは、1つです。新聞やTVは取材したその日の夕方や、翌日にはニュースになっています。
私の執筆媒体は、締め切りに余裕があるので、後出しになります。
ネット上の、少しでも似て見えるものはパクリという論調を見ていると、
いつか、私も「パクリライター」なんて、言われる日がくるのではないか?

そんな風に思ってしまいます。

私は、自分が取材に行った案件が、他の媒体で記事になっているのを、チェックします。
他のメディアはどう書いているのか、どのように伝えているのか? 調べます。
これから執筆する原稿に関連する記事があれば、それも読みます。過去記事をさかのぼって読むこともあります。派生して、どんどんと調べる範囲は広がります。

調べたことをそのまま記事に流用するわけではなく、知識を持って記事を書くのと知識がないまま書いたのでは、情報の深度が変わってくるからです。

今回の炎上が拡大した要因は、最初の記者会見での対応ミスがあったのではないか? と私は考えます。

佐野氏は、記者会見でベルギーのリエージュ劇場のロゴをデザインしたオリビエ・ドビ氏からの指摘に対して、
「報道されている海外作品は、まったく知らないものです」「制作時に参考にしたことはありません」「Pinterestは見ていません」
と答えています。

制作時に参考にしていないのは、当然でしょうが、該当作品をまったく知らないとか、Pinterestは見ていませんというのは、苦しいと思うのです。

だって、プロのデザイナーなんですから。

日頃から、誰よりもアンテナを高く立てて、情報収集しているのが普通でしょう。

デザイナーに限らず、モノ作りをしている人間にとって、それが普通の状況だと思うのです。

自分の仕事に関連する情報は、無意識のうちに、全てをインプットしていくのが習い性になっているのが当然でしょう。

そう考えたときに、「該当作品をまったく知らない」と答えるのは、不自然だと私は思うのです。

もし、記者会見の中で、

プロのデザイナーとして、世の中にあるデザイン全てに対して、常にアンテナを張っています。
学び続けるのは、クリエイターとして当然のことだからです。
素晴らしいデザインは潜在意識の中でも輝きを放つだろうから、インスピレーションに働きかけている可能性はあるかもしれない。
けれど、意図的に模倣したということは決してない。
オリビエ・ドビ氏には、シンパシーを感じる。いつかお会いしたい。

といった方向でコメントしていたら、ネットの反響も違ってきたのではないか? と考えます。

デザインに限らず、モノ作りの全ては、既存のモノの影響は免れないでしょう。完全なオリジナルを考案するとしても、「今の世の中にないものを作りだそう」とする時点で、既存のモノの影響を受けているわけですから。

そう考えていけば、モノ作りをする人は、お互いが影響を与え合っているわけです。そうして文化として昇華させていくのが、クリエイターなのでしょう。
だから、お互いの作品を認め合い、尊重していく姿勢が必要だと私は思います。

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