コンビニ言葉やバイト敬語という言い方で、
日本語の乱れが指摘されることがよくあります。
若者を中心とした日本語の乱れを嘆く風潮は、今に始まったわけではなく、
30年前、私がハタチだった頃にも言われていました。
私は日本語の専門教育を受けたわけではありません。
ライターの仕事を始めて10年以上がたち、
文章講座を開催するようになった今も、
原稿を書くときはと辞書を引いたり、ネットで調べたりして確認しています。
私の文章に対するスタンスは「正しい日本語はありません」「けれど、間違った日本語はあります」です。
“正しい日本語がない”の意味は、言葉は時代とともに変化するのが当たり前だからです。
その変化は口語が先に行われ、文体・文法体系として定着するのは相応の時間が必要です。
日常会話で許容される表現が、公の場にふさわしくなかったり、
口語では長く使用されていても、文語に採用されるかはまた別の話になるでしょう。
要するに、言葉は生き物で常に移り変わっているから「正しい日本語」はないのです。
一方で「間違った日本語」は、歴然とあります。
私の定義で「間違った日本語」は、
1)読み手によって解釈が分かれてしまう
2)読み手が、推測しながら読まなくてはならない
3)情報の欠落/矛盾がある
といった文章です。
会話の中でなら、「相手に伝わっていないな」と感じたら、
その場で言い直したり、情報を補足したりして、相手との共通認識を固められます。
けれど、文章は一方通行のコミュニケーションです。
メールやチャットならば、読み手が確認をしてくれるかもしれませんが、
多くはスルーされてしまいます。
間違ったニュアンスで伝わった、受け止められたことに、
双方が気づかずにいるためです。
私の文章講座は、ペアワークやグループワークで行います。
グループワークで、たくさんの間違った例文を扱うのは、
あいまいな文章、間違った日本語は、読者を混乱させるということを、
参加者の皆さんに理解していただくためです。
いつもは読み流してしまう文章も、
改めて書き出してチェックすると
「……意味がわからない」
「えー、私はこう思ったんだけど、違うの?」
ということが多々あって、驚きます。
参加者全員で情報を共有するので、
一人で文章を書いているだけでは気づくことが難しい「読者の視点」を体験していただいています。
参加者の方から飛び出す意見や質問は、
私が聞いても「なるほど〜!」と思うことが多くあります。
それらは、次回の講座にフィードバックされてゆきます。
多くの方が悩んでいる「推敲のポイント」は、日本語クイズ形式で学びます。
「あ、自分もこういう書き方をすることがある!」
「つい書いてしまうけど、どう直していいかわからない」
という自分の文章のクセが見つかるはず!
そこに気づくだけで、文章が書きやすくなります。
次回の文章講座は、2015年10月20日に大阪・梅田で開催します。
ぜひ、ご参加ください。