女性プロレスラーの木村花さんが、お亡くなりになりました。彼女のご冥福をお祈りします。彼女はTV番組に出演したのがきっかけで、SNS上で多数の誹謗中傷を受けていたそうです。
私も、匿名掲示板やSNSで誹謗中傷を浴びたことがあります。顔の見えない多数の人から、謂われのない悪口雑言を受ける恐怖を知っています。私は数年間、SNSから距離を置いて活動をしていました。
当時、私が強く思ったのは、「その言葉、私の前に出てきて言ってみろ!」でした。
木村さんの事件に端を発し、ネット上では、批判・意見と誹謗中傷をどこで区別するのか? SNSの発言を規制するのは、言論統制になってしまうのではないか? といった議論が行われています。
批判と誹謗中傷は明らかに違うのに、それがわからない人がいるのかと不思議です。残念ながら、ネット上ではわかっていても論をわざと曲げてわからないふりをする人が多いのが現状です。真面目に議論している方は、そうした人たちに振り回されているのではないか…そんな気がします。
今日のブログでは、具体的なエピソードを出して意見と批判、誹謗中傷の違いを紹介します。人様のエピソードを出すわけにはいかないので、我が家の夫婦喧嘩を題材にします(笑)
数年前になりますが私が、ロボットコンテストの告知チラシを作っていたことのときのことです。(私は、マイクロマウス関西支部の事務局もやっています)
写真ではロボットのスピード感がでないので、チラシに掲載する写真を加工していた私に夫が言うのです。
「それは捏造だ!!」
その当時、世の中でデータの捏造が明らかになった大きな事件がありました。毎日にニュースで「捏造」の単語が取りざたされていました。だから、普段、そんな言い方をしない夫もつい使ってしまったのかもしれません。ふざけ半分でもあったかもしれません。
でも、忙しい仕事の合間にボランティアでチラシ作りをしていた私は、その言い方にカチンときて「捏造じゃなくて加工でしょ!?」と言い返しました。けれど夫は「捏造!」と重ねて言うのです。
実は我が家はとても仲の良い夫婦(笑)で、喧嘩はもとより小さな諍いもほとんど起きません。だから、私はこの夫の発言とその後の流れにとてもびっくりしました。普段、こんなことを言われてないだけに悲しかったし腹も立ち、かなりきつい言い方でキレたのを覚えています。
そして少し落ち着いた後で改めて言いました。
あなたが写真を加工して掲載するのに反対だと言うのはわかった。
だったら「僕はそういう加工するのは嫌いだ」と言えばいいだけのことだよね?
それを「捏造」と言うのは、言葉の選び方に悪意……意地悪な気持ちがあったと私は思う。
そう言うと夫は自分の言い方が悪かったのを認めて謝ってくれました。
夫婦喧嘩終了。めでたしめでたし。
私は、写真の加工は嫌いです。
これは、意見。
加工した写真を掲載したら、来場者に誤解を与える。だからやるべきではない(と私は思う)。
これは、批判(根拠+意見)。
写真をデザインのレベルで加工しているのを、自分が嫌いだからという理由で「捏造!」言い張るのは誹謗中傷の範疇です。
自分の発言が批判なのか誹謗中傷なのか意見なのか分からなくなったときには、主語が“私”になっているかどうかを確認するのが、分かりやすいです。
「私」が主語になっていれば、それは意見です。
批判するときには、根拠を述べる必要があります。根拠のない、または憶測に基づく批判は、誹謗中傷になりかねません。
でも問題は、その発言が批判か? 誹謗中傷か? ではないと私は考えています。
そもそも匿名でしか言えないような意見は、ほとんどの場合において言う必要がないのです。
ネットに書き込みたくなったその文章は、自分の顔と名前を出して発言できるのか?
極端な話、駅前で拡声器を持って道行く人に向けてその意見を言えるのか。
自分がSNSに書き込んだ言葉を、自宅の玄関に張り出しておけるのか。
自分の発言に責任を持つ覚悟で言葉を選ぶ。
表現の自由を主張するのなら、自分の表現に責任を持つ覚悟が必要でしょう。
私はそう考え、自分を戒めています。