こんにちは。経営者のための文章コンサルタント松永弥生です。
今日は私の体験談、初めてプレスリリースを出して「痴漢抑止バッジプロジェクト発足」記者会見をしたときのことをお話します。
記者会見の2週間前に、プレスリリースを書いて配信しました。
ところが記者会見でのスピーチを考えたのは、その後です。記者会見の3日前に書き始め、前日にギリギリ書き上げました。
このスピーチを書くとき、私はエンパシーライティングを使いました。
エンパシーライティングは、ターゲットを絞り込み、その人に気持ちに寄り添い訴えかけるような文章を書くためのツールです。(エンパシーライティングについて話すとブログが10本ぐらい書けるので、説明を端折ってます 笑)
私は、かなり緊張して記者会見に挑みました。記者会見を取材した経験は数え切れないほどあるけれど、自分が壇上に立ちスピーチをするのはもちろん初めてだからです。
しかもテーマが痴漢問題。
当時(今もですが、当時は今よりも数十倍もしかしたら数百倍もひどかった)、痴漢問題がニュースになるとコメント欄がものすごく荒れて、「痴漢冤罪の方が怖い」とか、「男を痴漢扱いするな」という被害者に対するバッシングが非常に多かったのです。
今は痴漢に関するニュースやコラムが増えていますが、2015年当時は、痴漢や性暴力をテーマにした記事は数えるほどしかありませんでした。
「痴漢は犯罪だからやめよう」と呼びかける記事には、多くの方から激しいバッシングが起きていたんです。
そうした中で痴漢抑止バッジプロジェクトを立ち上げ、社会に向けてスピーチをするのはすごく勇気が必要でした。
それでも私は、このプロジェクトを訴えかけるターゲットを女性ではなく男性にしていました。
1つには、痴漢問題を加害者と被害者の問題にするのではなく、社会全体で考えていく課題として扱いたかったからです。
痴漢行為をするのは極々一部の人なのに、なぜか、ニュースになると男性 VS 女性の対立構造が作られて、ネット上で意見が荒れるのもなんとかしたいと考えていました。
もう1つの理由は、このプロジェクトがクラウドファンディングをベースに企画されていたからです。
2015年当時は、クラウドファンディングは今ほど一般的ではなく、支援者の多くは男性でした。だから、クラファンを成功させるために、男性に訴えかけることが必須だったんです。
そこで、痴漢をしない当たり前の男性をターゲットとしてスピーチを考えました。
配信済みのプレスリリースでは、バッジのことを、痴漢撃退とか痴漢撲滅と表現していました。
スピーチを考える段になって、私は「この表現は適切ではない」と気づいたんです。
もしあのまま痴漢撲滅や痴漢撃退と言う言葉でプロジェクトを始めていたら、このプロジェクトは今のような形にはなっていなかったでしょう。
撃退や撲滅という人の感情をネガティブに煽る強い単語を使っていたら、「自分は何もしていないのに攻撃された」と過剰反応する人が大勢出てきたと容易に予測できます。
それにバッジやプロジェクトの趣旨を正確に言い表している単語でもありません。このバッジは、加害者を攻撃するものではなく単に抑止するだけのツールだからです。
あの記者会見から5年経ち、今年開催される「第6回痴漢抑止バッジプロジェクトコンテスト」は国交省や文科省からも後援名義をいただきました。鉄道会社3社からも協賛をいただいています。
あの時、最後の最後にたどり着けた「抑止」と言う単語のおかげでプロジェクトの方向性が定まり、ブレずに進んでこれたおかげだと思っています。
「痴漢抑止」は、エンパシーライティングを使ったからこそ出てきた言葉でした。
プレスリリースを出した後に、プロジェクトの根幹に関わる単語を変えるのは非常に危険なことです。
実際、ニュースの第一報ではプレスリリースの単語がそのまま使われていました。これは記者さんのミスではなく、当然、私の失敗です。記者さんにはお詫びを申し上げて、WEBに掲載されたニュースを修正していただくようお願いいたしました。快く応じていただいた記者さんには今でも感謝しています。
私も、初めてプレスリリースを出した時には、こんな失敗をしています。
本来なら、出してしまったプレスリリースを訂正するのは容易なことではありません。なぜなら、プレスリリースは企業や団体が出す「公式な声明」だからです。
だからこそ事前に余裕を持って、練り上げておく必要があります。できれば第三者のチェックを入れたほうがいい。それが私自身の経験と反省から言えることです。
項目 | 所要時間(分) | 文字数 |
キーワード出し | 7 | |
音声入力 | 14 | 1843 |
推敲・修正 | 16 | 1868 |
校正(2回) | 12 | 1880 |
タイトル画作成 | 24 | |
アップロード | 5 | 1910 |
計 | 78分 | 1910 |