こんにちは。経営者のための文章コンサルタント松永弥生です。
今日は「うそみたいな本当の話」について話をします。
このブログで、時事ネタを取り上げるのはどうなのかな? という気もするんですけれど。先日、大阪の吉村府知事が発言したポビドンヨードの件について、面白い…と言っては不謹慎かもしれませんが、とても興味深かったので、感じたことを書き残しておきます。
吉村知事の発言がきっかけで、うがい薬の買い占めが起きたとか、うがい薬の正しい用法の周知が必要とか、そういった事はここではおいておきます。メディアや他の方が、たくさん語ってらっしゃるからです。
私が関心を持ったのは、吉村府知事が記者会見で「うそみたいな本当の話」と言う強調を、ポビドンヨードの話をするための前振りに使ったことです。
毎日新聞の記事には、吉村知事の発言が、
うそみたいな本当の話をさせていただきたい。ポビドンヨードを使ったうがい薬、目の前に複数種類ありますが、このうがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減っていく。薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出たので紹介し、府民への呼びかけをさせていただきたい。
と記載されています。
でも、考えてみてください。
「うがいをすると、口内のウィルスを減らす効果がある」というのは嘘も本当もなく、“当たり前の話” だと思いませんか? だから風邪やインフルエンザの予防、そして今回、コロナの発生に伴ってうがい(と手洗い)の奨励がされてきたんです。
あの記者会見は「今頃、何を言っているの?」と受け取るのが普通だと、私は思いました。
「嘘のようなホントの話」というのを、これまで誰も知らなかった驚愕するような事実に対してつけるのならわかります。誰もが知ってる当たり前の話の前につけても、本来意味がない言葉です。聞いた側は、期待が大きかった分だけ、肩すかしをされたような気分になるのが、普通でしょう。
けれど、知事の立場にある方が、わざわざ記者会見を開き、しかもその場で「うそみたいな本当の話」ともったいぶった、大仰な前振りまでつけて発言してしまった。
だから、人々に対して非常に大きな影響を与えたんだなぁ…と感じました。
これは、印象操作の枕詞だなぁと、私は思ったんです。
あの発言が、もっと淡々と事実だけを伝えるものであったら、こんな大騒ぎにはならなかったのではないでしょうか? 単に「研究の結果、改めてうがいの大切さがわかりました」ぐらいに留めておいてもよかったんだと思います。
それだとニュースにはならないでしょうが……。
そもそも記者会見では、うがい薬にコロナの予防効果があるとは言っていません。けれど多くの人がうがい薬を買い求め、転売する人も現れてしまいました。
発言の内容を正しく理解する前に、与えられた印象だけで判断して動いてしまう人は多いのです。
情報を正しく伝える事は、本当に難しい。
大切な事を相手に理解してもらうために、インパクトのある伝え方をしたいけれど、そのために強すぎる言葉を選ぶと、今回のような誤解に発展してしまうことがある。
情報発信する人は、そうしたことも心に留めておく必要があると感じました。
まぁ、そうした心理を利用してCMやLPが作られていくわけですが。
私たちは情報発信者であると同時に、受信者(読者)でもあります。本当のようなウソの話、紛らわしい情報や誇大広告の印象に騙されない防衛も必要です。
文章力がある人は文章が書けるだけではなく、読解力にも優れています。文章力は伝える力であると同時に、真偽不明な情報が錯綜する社会の中で、自分の身を守るスキルにもなる。
私は、そんなふうに考えています。あなたは、どう思いますか?
項目 | 所要時間(分) | 文字数 |
キーワード出し | 8 | |
音声入力 | 9 | 1238 |
推敲・修正 | 28 | 1534 |
校正(2回) | 8 | 1533 |
タイトル画作成 | 11 | |
アップロード | 5 | 1545 |
計 | 69分 | 1545 |